酒粕の思い出

酒粕は子供の頃から食べていました。よく母がかってきていました。

小学校低学年の頃に見た酒粕、不思議な気持ちでした。

「酒粕食べる?」と母、「酒粕って何」「酒粕っていうたら酒のかすじゃよ」、母、説明になっていません。「酔ったりせえへんの」私の質問も当時は可愛かったです。「酔えへんよ。」ほんとですか?お母様と思いながら「食べる」と可愛く言いました。

母は酒粕を皿にだし、砂糖と一緒に持ってきました。「これどうやって食べるん?」「砂糖つけて食べるんじゃよ」お母様、ダイナミック過ぎます。私は初めて酒粕を口にしました。砂糖で甘く感じたけど、酒粕の香りはちょっと大人の味がしました。

別のある日、母が言いました。「甘酒飲む?酒粕で作った甘酒」興味深々でした。酒粕で作った甘酒は、温かいだけでなく、甘くおいしい飲み物に調理されてました。

私はよく酒粕で作った甘酒を飲んでいました。しまいに母が「自分で作りない」と作り方を教えてくれました。

鍋にお水を入れて、酒粕をちぎって入れ、酒粕が溶けてきたら砂糖で味付けをする。教わった通りに作りました。なかなか酒粕が溶けていきません。母が作るように上手に出来ませんでしたが、よく作っては飲んでいました。

今ならフードミキサーで簡単に溶けますが、昭和の時代の話です。

ある日学校から帰ったら、母が言いました。「甘酒飲むで?」母が甘酒を入れてくれました。ちょっと待って下さい、お母様。今まで飲んでいた甘酒と明らかに違いますが、「これ甘酒?」「これ甘酒」「酒粕入ってないよ」「これがほんとの甘酒じゃよ。こうじで作るのが本当の甘酒」「こうじって何?」「こうじっていうたらこうじじゃよ」お母様、何の説明にもなっていませんが、それに、本当の甘酒って何よ、今まで飲んでいたのは偽物の甘酒なの?と、子供心に色々考えたものでした。

実家を巣立ち、スーパーで酒粕を見かけたときは、母との思い出がよみがえりました。思わず酒粕を買い、寮で懐かしい味を作って飲んだ事を覚えています。20を過ぎてもまだらに酒粕が残ってしまいました。それもまた、懐かしい思い出です。当時はフードミキサーがありましたが、知恵も湧かず、作りました。さらに美味しく飲むには、生姜をすりこむと、冬など体があたたまると聞きました。

現在は簡単に出来るしょうが湯などが売られていますが、酒粕で作る甘酒の味のレトルトはまだ出会った事がありません。

今度スーパーに行ったら、母との思い出の酒粕を買ってみようと思います。